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給与明細の作り方:無料テンプレートで自分で作る完全ガイド

給与明細は、給与の「内訳書」です。総支給額、控除された社会保険料や税金、そして実際の手取り額を一枚で証明します。中小企業の経営者として従業員に発行する場合も、フリーランス・個人事業主として収入証明のために自分で作成する場合も、このガイドを読めば必要な項目と作成手順がすべて分かります。

給与明細とは

給与明細(給与支払明細書、ペイスリップ、給与計算書とも呼ばれます)は、ある支払期間の報酬の内訳を記録した書類です。総支給額、源泉徴収された税金、社会保険料、その他の控除、そして手取り額が記載されています。

給与と給与明細の違い: 給与は実際に振り込まれる金額そのもの。給与明細はその「説明書」です。口座振込が主流の今、給与は通帳の数字としてしか残りませんが、給与明細は内訳の証拠として手元に残ります。

給与明細が重要な理由は3つあります。

  1. 法律上の義務 — 所得税法第231条により、雇用主は従業員に給与明細を交付する義務があります。
  2. 収入証明 — 銀行、不動産会社、貸金業者は、住宅ローンや賃貸契約、クレジット審査の際に直近の給与明細の提示を求めます。
  3. 税額の確認 — 年末の給与明細の累計額は、源泉徴収票や確定申告の数字と一致するはずです。

給与明細に記載すべき項目

すべての給与明細には以下の項目を含めてください。一つでも欠けていると、収入証明としての効力が弱まります。

区分必要項目
支給者(雇用主)会社名、住所、法人番号
従業員氏名、住所、従業員番号
支払期間期間開始日、終了日、支給日
勤怠出勤日数、労働時間、残業時間、有給消化日数
支給基本給、残業手当、通勤手当、各種手当、賞与
総支給額控除前の合計金額
控除健康保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税、その他
差引支給額(手取り)控除後に実際に振り込まれる金額
年初来累計支給額・控除額・手取りの当年累計

特に忘れがちなのが**年初来累計(YTD)**の欄です。この欄がないと収入証明としての説得力が大きく下がります。年間を通した稼ぐ力が見えないからです。

給与明細の作り方:ステップ・バイ・ステップ

雇用主が従業員のために作る場合も、個人事業主が自分のために作る場合も、手順は同じです。

1. 雇用主と従業員の情報を準備する

会社の正式名称、所在地、法人番号を用意します。従業員側は氏名、住所、従業員番号(または社員ID)が必要です。

2. 支払期間を決める

開始日、終了日、支給日を決めます。日本でよくあるパターンは以下のとおり。

  • 月給(月末締め翌月25日払い) — 年12回、最も一般的
  • 月給(15日締め当月25日払い) — 年12回
  • 日給月給 — 出勤日数で計算する月給制
  • 時給制 — アルバイト・パート向け、週払いまたは月払い

3. 総支給額を計算する

時給制の場合:通常勤務時間 × 時給 + 残業時間 × 時給 × 1.25(深夜・休日は別途割増)。月給制の場合は固定の基本給に、通勤手当・住宅手当・残業手当などを加算します。手当は項目ごとに分けて記載すると、内訳が明確になります。

4. 控除を引く

健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、源泉所得税、住民税を差し引きます。会社によっては財形貯蓄や社員持株会、組合費なども控除対象です。控除の詳細は次のセクションで解説します。

5. 差引支給額を計算する

総支給額 − 控除合計 = 差引支給額(手取り)。これが実際に口座に振り込まれる金額です。

6. 年初来累計を更新する

今回の総支給額、各控除、手取り額を、年初からの累計に加算します。次回以降の給与明細にも繰り越して記載しましょう。

7. PDFで出力・保管する

無料の給与明細作成ツールを使えば、フォーマットを整えてPDFを即ダウンロードできます。雇用主・従業員の双方で控えを保管しましょう。労働基準法第109条により、賃金台帳は3年間(2020年改正で将来的には5年間)の保存が義務付けられています。

無料給与明細作成ツール は登録不要。項目を入力してプレビューを確認、PDFを2分以内でダウンロードできます。

主な控除項目の解説

日本の給与明細でよく見る控除項目を、月給30万円の従業員を例に説明します(料率は2026年時点の目安、東京都・40歳未満の例)。

控除項目料率の目安月給30万円の例
健康保険約4.985%(労使折半後の本人負担分)約14,955円
厚生年金9.15%(労使折半後の本人負担分)約27,450円
雇用保険0.6%(一般事業の本人負担分)約1,800円
介護保険約0.9%(40歳以上のみ)該当なし
源泉所得税扶養控除等申告書と税額表により決定約6,750円
住民税前年所得の約10%を12分割約15,000円
差引支給額残った金額約234,045円

「源泉徴収」とは: 雇用主が従業員の給与から所得税をあらかじめ天引きし、従業員に代わって国税庁に納める仕組みです。年末調整で過不足を精算します。

社会保険料の労使折半: 健康保険、厚生年金、介護保険は会社と従業員が折半で負担します。給与明細に記載されるのは本人負担分だけなので、会社側の負担は別途経理上で管理します。

個人事業主・フリーランスの給与明細

個人事業主やフリーランスには、誰も給与明細を発行してくれません。しかし住宅ローンや賃貸契約、自動車ローンの申し込み時には、収入証明として給与明細の提示を求められることがあります。

個人事業主が自分用の給与明細を作る場合は、自分が雇用主と従業員の両方を兼ねるイメージです。

  • 支給者 = 屋号(屋号がない場合は本名)
  • 従業員 = 自分自身
  • 総支給額 = その期間に実際に受け取った報酬(請求済みではなく、入金済みの金額)
  • 控除 = 国民健康保険料、国民年金、予定納税分の所得税・住民税、自分で積み立てる小規模企業共済など

注意点:「請求中の金額」ではなく「実際に入金された金額」を記載してください。貸金業者は給与明細と通帳の入金履歴、確定申告書を照合します。実態より多く書くと審査落ちするだけでなく、最悪の場合は不正と見なされます。

なお、個人事業主の収入証明としては、給与明細よりも確定申告書の控え所得証明書の方が信頼性が高い場合もあります。賃貸契約の場合、両方を求められることが多いので併せて準備しておきましょう。

請求書を継続的に発行している場合は、請求サイクルと「給与期間」を揃えると管理が楽になります。請求書の作り方はフリーランス向け請求書ガイドで詳しく解説しています。

電子給与明細は法的に有効?

結論:有効です。労働基準法に明文の規定はありませんが、平成10年の通達(労働省)と、その後の電子帳簿保存法の整備により、以下の条件を満たせば電子給与明細での交付は認められています。

条件内容
本人の同意従業員が電子交付に同意していること
印刷可能必要に応じて従業員が印刷できる形式(PDFなど)
改ざん防止データの真正性が確保されていること
保存期間雇用主は3年間(将来的には5年間)の保存義務

実務的には、PDF形式でメール送付、または社内ポータルからダウンロードできるようにするのが一般的です。電子帳簿保存法の改正により、2024年以降は電子取引の電子保存が原則必須となっているため、紙の給与明細を発行している会社も電子化を進めています。

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よくある質問

過去の支払期間の給与明細をさかのぼって作れますか? はい。実際に支払われた給与の記録を再構成する場合は問題ありません(紛失した給与明細の復元など)。ただし、実際には支払われていない金額を作り出すのは不正となりますので絶対にやめましょう。

口座振込なら給与明細は不要では? いいえ、必要です。振込は「支払い」、給与明細は「内訳書」。所得税法第231条により、振込であっても給与明細の交付は義務付けられています。

総支給額と差引支給額(手取り)の違いは? 総支給額は控除前の金額。差引支給額は税金や社会保険料などを引いた後、実際に口座に振り込まれる金額です。

給与明細はどれくらい保管すべき? 従業員側は最低でも1年間、源泉徴収票と照合できるまで保管しましょう。住宅ローンや確定申告に使う可能性があるなら2〜3年分は保管がおすすめ。雇用主側は労働基準法により賃金台帳を3年間(将来的には5年間)保存する義務があります。

給与明細だけで収入証明になりますか? 賃貸契約程度なら直近1〜3ヶ月分の給与明細で十分なケースが多いです。住宅ローンなどの大型審査では、源泉徴収票や確定申告書、課税証明書などと併せて提出を求められます。

手書きの給与明細は有効? 記載項目さえ揃っていれば法律上は有効ですが、銀行や不動産会社の多くは受け付けません。PDFで出力した整ったフォーマットの給与明細が事実上の標準です。

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取引先への請求書も発行している方(自分に給料を支払う個人事業主に多いケース)は、個人事業主の請求書ガイドも併せてご覧ください。請求書と給与明細の数字が整合していれば、貸金業者から両方を求められた際もスムーズに対応できます。